11/14(土)、11/15(日)と静岡県掛川市のアートイベント「原泉アートデイズ!2020〜不完全性〜」にて上演するソノノチのパフォーマンス『風景によせて2020』について、改めて製作の背景やプロセスをいくつかまとめました。
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(撮影:脇田友)
◆概要
今作は、ソノノチにとって初となる野外でのパフォーマンス作品となります。
近年の滞在制作や各地でのリサーチを通して取り組んで来た、空間と時間へのアプローチ。その末にたどり着いたのが、遠景を眺めるように見ることのできる舞台作品「風景の演劇シリーズ」です。
鑑賞者にそっと寄り添いながら、「私たちの心に、今広がる風景とは」を問う今作。
強い刺激は無くとも感性をゆさぶるソノノチの新たな挑戦にご期待ください。
◆「風景によせて2020」上演の3つのポイント
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①観客との距離は、最大400m!
圧倒的な“フィジカルディスタンス”で上演する野外パフォーマンス
②風景を切り取る
③滞在制作で創作。現代アート展で上演
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①観客との距離は、最大400m!
圧倒的な“フィジカルディスタンス”で上演する野外パフォーマンス
今作は集落の風景全体を舞台にした作品で、観客は集落を一望できる茶畑付近から作品を眺めます。
集落の中に溶け込むパフォーマーと観客との距離は、直線距離で最大400m。舞台最前方でも約120mは離れています。物理的に身体的距離“フィジカルディスタンス” の取れたソーシャルディスタンス演劇です。
(上演会場、静岡県掛川市 萩間の集落)
②風景を切り取る
本作は、集落一帯を舞台にしているため、鑑賞者は全景を捉えることや俳優を見つけ出すことさえも容易ではありません。何も起こっていないように見えるけれども、何かが起こり続けている。その中で鑑賞者は、風景の切り取り方を自ら選ぶことができます。観客が主体的に、観る視点や時間の過ごし方、どれくらいの時間をここで過ごすかなどを選択でき、風景を切り取るフレームの存在に、ひいては自身のものの見方や価値観に気づくようなきっかけにすらなるかもしれません。
この「切り取る面白さ」を感じてもらうため、今回はSNS連動企画として『ふとフォト』という取り組みをしています。
ふとフォト特設ページ:https://landscape-theatre2020-2021.jimdofree.com
紹介文:フォトフレーム越しに写真を撮って、写真にハッシュタグ[#ふとフォト]をつけてSNSでシェアするだけ。ふと足を止めて、あなただけのフレームで切り取った風景を共有してください。
(ふとフォトで撮影された写真)
③滞在制作で創作。現代アート展で上演
自然も人もゆるやかに開かれており、コロナ禍のソーシャルディスタンスを保ちつつ来訪者を温かく受け入れてくれるこの場所で、空き家に滞在しながら、現地での作品創作を行いました。制作した作品は、現代アート展「HARAIZUMI ART DAYS! 2020 〜不完全性〜」(主催:原泉アートプロジェクト)にて、上演します。このイベントでは、国内外様々なジャンルの現代アーティストたちが、原泉でのアーティスト・イン・レジデンスを通して制作した作品の数々を、期間中、地域のいろんな場所で展示・上演をします。
ソノノチの上演するパフォーマンス『風景によせて2020』は、4シーン構成の作品を、15分×4回に分けて上演するため、各開演時間で上演内容も異なります。なるべくひとつの作品に滞留する時間を短くすることで鑑賞者が様々なアーティストの作品を見て回るための時間を設けています。今回のパフォーマンスの舞台ともなっている展示エリア全体を見て回ることで、パフォーマンスで見える景色が変わる作品でもあるからです。
◆作品によせて(コメント)
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建物、乗り物、自然。ここで生活する人、訪れた人。
開けっぱなしの窓、ゆらめく洗濯物、屋根の上の猫。
ススキがゆるゆると風に揺れているところ。
山々にうつる雲の影が、いつのまにか動いていくところ。
鳥の群れが、毎日決まった時間に飛び立つところ。
そのほか、目には見えないけどそこに確かに感じる数多のもの。
あなただけのフレームを手に。
風景によせて。
(※「風景パンフレットより転載)
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「世界の9割は目に見えない」という言葉がとても好きです。
昨年、初めてこの場所を訪れたとき、なにやら見えないものがたくさん身体を通っていったような感覚が忘れられず、ここで作品をつくろうと決めました。
茶畑をはじめとした広大な田園風景と民家が広がるパノラマの中に俳優が入ることによって、あちらこちらにきっと宿っていて、まばたきの一瞬の間にも見えたり見えなかったりするようなものをすくい取れないか、という試みです。
それ自体はとてもささやかなものですが、とても大切なものかもしれません。ぜひこの試みに立ち会っていただけますと幸いです。
(※演出コメント)
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