《終了御礼》風景演劇プロジェクト 『風景によせて2021 かわのうち あわい』

愛媛県東温市初のアーティスト・イン・レジデンス企画。
東温市の中山間地域で延べ約一ヶ月間滞在しながらリサーチと作品創作を行い、東温市河之内地区の惣河内神社と、そのすぐそばの棚田のある景色を舞台に「風景演劇」を上演しました。
また、横河原駅近くの「横河原ぷらっとHOME」の一角にて、東温での滞在制作やこれまでのソノノチの風景演劇の歩みを展示する展覧会も開催致しました。

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私たちが、東温市を初めて訪れたのは、昨年の4月のことです。
6月・7月と滞在した後、8月の滞在と9月の上演はコロナの影響で延期となりました。それから半年以上の月日があいて、3月に再びこの町に戻ってくることができました。現地を久しぶりに訪れた時、地域の方々に「やっと上演できるんですね。」「待ってたよ、頑張ってね!」とたくさん温かいお声がけをいただきました。これまで時間をかけて準備してきたことが、きっとこれから少しずつ花開いてゆく。そんなありがたい心地がしました。そしてそのイメージは、雪解けを迎え春へと向かう河之内の風景とも重なりました。

惣河内神社から棚田の見える場所に移動してゆくと、向かって左手の小高い丘になったところに大きな木が見えます。そこには「御旅所(おたびしょ)」(神社の祭礼のとき、お神輿がとどまるところ)があります。手前側には川が流れていて、その昔、雨乞いの儀式が行われていた滝があります。昔の人々が神様に祈りを込め、願いを託していた場所だったのです。私たちは、この場所で上演をすることを決めた後にその話を聞きました。知らず知らずのうちに、風景の持つ力を受け取っていたのかもしれません。

風景は、そこに暮らしてきた人たちの日々の営み、その時間の蓄積です。風景の中に立つことで、その足跡をたどることができるかもしれません。風景は私たちに問いかける力を持っているように感じます。「今あなたは、一体どこに立っているのか」と。

東温市に滞在する中で体験したりリサーチしたりしたことをもとに、本作は生まれました。
河之内をはじめ、東温各地域でご縁をいただいた皆さま、東温市関係者の皆さま、また関連団体・個人の皆さまに心よりお礼を申し上げます。

多くの物語や歴史的背景を持つ、河之内の風景に心を惹かれてから早1年。作品の幕を開けられることは本当に嬉しいことでした。
この場所にも春が訪れようとしています。春は毎年やってきますが、同じ春はこれまでもひとつとしてなかったはずです。たった一度しかない、きっと忘れることのできないだろう春を、ここに集ってくださった皆さんと大切に味わうような時間を過ごせたことを心より感謝致します。

ソノノチは次につづきます。
http://landscape.sononochi.com/archives/category/2021_toon

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とうおんアートヴィレッジフェスティバル2021参加作品

《ソノノチ 風景演劇プロジェクト》
『風景によせて2021 かわのうち あわい』

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【上演日時】
2022年3月26日(土)・27日(日)
各日 ①11:00-/②17:00- 開演〔小雨決行、荒天中止〕
※3月26日(土)11:00の回が悪天候のため荒天中止となりました。

【場 所】
惣河内神社 及び その周辺(東温市河之内甲4876)

【クレジット】
構成・演出:中谷和代
出演:芦谷康介、桐子カヲル、筒井茄奈子、藤原美保、脇田友

演出部:北方こだち
楽曲制作:瀬乃一郎(廃墟文藝部)
衣装:たかつかな(何色何番)
舞台監督:脇田友(スピカ)
宣伝美術:ほっかいゆ r ゐこ
イラスト:森岡りえ子
制作:渡邉裕史
制作補佐:小寺春翔、藤田みのり
アーカイブ:柴田惇朗
記録写真:駒優梨香
記録映像:池内宗基

協力:東温アートヴィレッジセンター 、とうおんアート・ラボ、河之内分館、惣河内神社、金毘羅寺、一般社団法人フリンジシアターアソシエーション、日向花愛、大岩主弥、コキカル、サファリ・P、スピカ、何色何番、廃墟文藝部、日置あつし、大沼花依、古家誠、雨瀧屋、近藤家、人空田、ぼたん茶屋、滑川清流クラブ、駅と珈琲、多世代交流拠点利用者協議会 ekit(横河原ぷらっとHOME)、松山ブンカ・ラボ、原泉アートプロジェクト、東温市地域おこし協力隊の皆さま

企画制作:NPO法人シアターネットワークえひめ
共催:東温市
主催:東温市移住定住促進協議会

助成:令和3年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業
supported by KAIKA

【上演終了】上演情報/『風景によせて2021 かわのうち あわい』(「とうおんアートヴィレッジフェスティバル2021」参加作品)

(撮影:脇田友)


(撮影:撮影:駒優梨香、現像:脇田友)

【東温公演】鈴木美恵子さんからの応援メッセージ

『風景によせて2021 かわのうち あわい』の上演に向けて、愛媛県の民間劇場「シアターねこ」の代表を務め、愛媛の演劇文化を支えられてきた鈴木美恵子さんから応援メッセージをいただきました!
今回の東温初のアーティスト・イン・レジデンスに向けて、たくさんお話やご相談にのっていただいた鈴木さんからのメッセージです。

ぜひご一読ください。

【鈴木美恵子さん 応援メッセージ】
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「旅するパフォーミング・アーツカンパニー」という、優しい雰囲気のソノノチさんの方々とご挨拶したのは、昨年の夏前のような気がします。
9月末公演予定が、コロナ禍で開催が延期され、3/26,27にやっと本番を迎えることができました。その間、東温市を何度も訪れ、丁寧に地域を散策し、住まわれている人たちとも関わり、語り合いながら作品の構想を練られたのでしょう。その土地によって異なる匂いや、風景を五感で受け止めながら。

「かわのうちあわい」とは住所なのかポエムなのかよくわからないまま、私は「風景演劇」を見ることになるのですが、地名というリアルと、「あわい」を辞書で引くと「間 向かい合うもののあいだ」のふんわり感の間を漂うことになるのかなぁと想像しています。未だ体感したことのないような演劇を見るのだという、意識だけはくっきりしています。
大自然に向き合うとき、私はいつも人間の小ささを思います。朝がきて、昼になり、夜が来る、そしてまた朝が来るという時の流れの中で、風の音・太陽の暖かさ・夕焼けのもの悲しさ・月の満ち欠け・満天の星空・幼いころから見ていた風景を愛おしいと感じる心を大切にしたいと思います。それさえあれば人は人らしく生きていけるのでないかと・・・

シアターねこ   鈴木美恵子

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鈴木美恵子さん(シアターねこ)

<プロフィール>
演劇企画集団「く☆す」で、別役実、清水邦夫、太田省吾、井上ひさしなどの演劇作品製作。
2007年にNPO法人シアターネットワークえひめを設立し、地域の舞台芸術を軸にした文化芸術振興を図る
ための各種事業開催。2012年に民間小劇場シアターねこを設立、2018年には障がい者就労継続支援B型
事業所「風のねこ」、同時に「物語カフェかまどねこ」を設置。

【東温公演_応援メッセージ】植田良子さんからのメッセージをいただきました

『風景によせて2021 かわのうち あわい』の上演に向けて、香川を拠点に活動するシアター・デザイン・カンパニー代表で、演劇制作者の植田良子さんから応援メッセージをいただきました!

野外での上演、そして地域での滞在制作を通しての作品づくりに対して、期待を込めた暖かいメッセージをいただきました。ぜひご一読ください。

 

【植田良子さん 応援メッセージ】
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愛媛のお隣、香川を拠点に演劇制作活動を続けています、シアター・デザイン・カンパニーの植田と申します。この度は、東温市でのソノノチさんの滞在制作の様子を、隣の県より、大変うらやましく眺めておりました。

地域において、演劇などのパフォーミング・アーツのことを考えるとき、「触れる機会が少ない」ことがよく問題として挙げられますが、私自身は、それと同時に「選択肢が少ない」ことも大きな問題であると考えています。
それは、観る側にとってもそうですし、創る側にとっても同様です。年に数回だけやってくる一流のものを観ることで、それで満足させられてしまう、それが地域の現状ではないかなと。一流は「本流」とも乱暴に言い換えられるかもしれません。ですから、本流ではなくても、選択肢の1つとして地域の人たちに胸を張って紹介できる、そんな作品やアーティストと出会えたとき、私はこのうえなくワクワクするのです。

私が8年前にシアター・デザイン・カンパニーを立ち上げてから関わった企画の中で、特にワクワクしたものを3つ挙げるとすると、ぺピン結構設計『パラダイス仏生山―演劇まちあるきー』(2015-18)、江本純子作演出『大部のできごと』(2016)、指輪ホテル『讃岐の晩餐会』(瀬戸内国際芸術祭/2016)になります。
この3つの作品はすべて、野外の、既存の劇場ではない場所を舞台としていました。普段何気なく歩いている道、遠足で行ったきりの史跡、潰れた工場跡。自分たちの住む地域に、新たな視点からアートの手法が加わることで、見慣れた世界がより色鮮やかに見えてくる。それは、とても新鮮で、とてもワクワクする体験でした。

だからこそ、ソノノチさんの活動は以前からとても気になっていました。京都を拠点とする彼らの目と耳、体を通して、この四国の風景はどんな風に描かれるのか。劇場ではない場所で、東温の風景や人や食べ物や、それらをどう受け止めて、どう差し出してくれるのか。きっと、『今、ここ』でしか体験できない作品を私たちに見せてくれることでしょう。想像するだけで、めちゃめちゃワクワクしています!そして、いつか香川でもお願いします!

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植田良子さん(シアター・デザイン・カンパニー代表)

<プロフィール>
香川県高松市出身。シアター・デザイン・カンパニー代表。演劇制作。
2000年に劇団活動を開始、2003〜06年「さぬきシェイクスピア」(演出:安田雅弘)にて制作を担当。2014年にシアター・デザイン・カンパニーを立ち上げ。「演劇と人と場所を繋ぐ」ことをテーマに、様々な作品上演に関わる。